インプラント 手術のヒントを探る
新薬の認可のためには、ダブル・ブラインド・テストを行って、他の薬剤と比べて新しい薬剤の方が明らかに効果があること、あるいはプラセボと比べて明らかに効果があること、いいかえれば統計的に明確な効果があることを証明しなければならない。
そういった薬剤は当然のことながら根拠がはっきりしている。
したがって最近の薬剤は、臨床試験ではっきりとした効果がないものに関しては認可されないということになってきた。
もちろん昔の薬剤に根拠がなかったわけではないが、最近はより科学的な根拠が要求されており、それを満たさないと認められなくなってきたということである。
薬に使う根拠が求められる時代さて、臨床の現場では医師は自分の処方する薬剤をどう選んでいるのだろうか。
医師の処方方法について実際に細かく統計や調査が行われたことはあまりない。
ただ、私自身が医師であるので、周囲の様子を含めて考えてみる。
情報がないと処方はできないので、まずどこかで情報を得ようとするが、情報源でやはり多いのはMRなどの薬剤の情報提供者である。
あるいは薬剤の説明会で情報を入手するのだが、薬剤の説明会というのはたいていどこかの製薬会社がスポンサーになっているので、基本的に説明される薬剤を悪くはいわないという欠点がある。
しかしながら、この2つからまず情報を得るということがやはり非常に多い。
昔はそれに加えてMRが接待などで処方してくれと頼んでいたが、いまはそういうことはほとんどなくなったし、知識で処方するということが多い。
そこで医師側としてみると、同じ降圧剤であってもA社のAという薬剤とB社のBという薬剤を、厳密に比較して、どちらが目の前の患者にいいのかということを考えなければいけない。
実は、それが最近のはやりのEBMというものの本質である。
EBMというのはエビデンス・ベースト・メディスン(根拠に基づく医療)という言葉だが、これが日本ではちょっと間違った使われ方をしている。
製薬メーカーのMRが「EBM」として提示してくるのは、大規模臨床試験の結果である。
そもそも、EBMを最初にいい出したのはカナダのM大学のS教授であるが、その意味するところは「批判的吟味」という概念である。
医学文献に、ダブル・ブラインド・テストで明らかにAという薬剤よりBという薬剤がいいと出ていたとしても、その論文のなかに書いてあることが本当に正しいのかということを統計学的にチェックしたり、あるいはA、B、2つの薬剤のデータを自分で突き合わせて、どっちが本当にこの患者にいいのかということをみる。
そういったことが本来のEBMである。
しかし、いまはMRが少し違う意味でEBMを使っており、医師側も、なんとなく大規模臨床試験の結果がよければそれを使う、という雰囲気になっていることは事実だ。
EBMは誤解の多い言葉で、いまいったような使われ方による誤解もある。
そして医師側にとって不快なことは、「じゃあ、いままでの医療はエビデンス(根拠)がなかったのか」といわれることだ。
もちろんいままでも根拠がなくて薬剤を使っていたわけではない。
ただ、いま述べたように大規模な数の患者に使った例を基にして、厳密に薬剤の使い方を科学的に吟味して処方していたという人は多数派ではなかったということだ。
同じ効果で安い薬剤はないのか「ジェネリック医薬品」という言葉を最近時々耳にする。
このジェネリック医薬品についてもともとこのジェネリック医薬品というのは、後発品という名称からもわかるように、あまりいいイメージではなかった。
それは特許が切れた薬剤、つまり莫大な資金を投入して開発した薬剤を、特許が切れたら、そっくりそのまま真似をして売っているという意味で、低くみられる傾向があった。
ところが冷静に考えてみると、最近、遺伝子の情報の議論でよく出てくる考え方と同様、薬剤の特許に対しても疑問点がないわけではない。
つまり薬剤は医療の非常に重要な部分にあたり、公共的なもののはずだ。
特に日本の場合には、国民全体の保険で医療を皆が等しく受けられるようにしている。
それならば薬剤も医療の一部だから、特許で金儲けをするのはおかしい、得られた結果を公表しろ、というわけだ。
薬剤には特許があり、特許期間中は、当然ながら他の製薬メーカーはその薬剤をつくることはできない。
製薬メーカーは営利企業であるがゆえに利益をあげなければならないのは事実である。
そこで特許期間中にたくさん薬剤を売って利益をあげ、それを次の研究開発に振り向けて、また新しい薬剤、難病などの薬剤を開発しようというサイクルで回している。
その特許が切れてしまった薬剤を後発品、またはジェネリック医薬品という。
この言葉は、英語でいう有効成分の一般名が商品名や処方名に使用されることに由来する。
実際、特許でがんじがらめにすると、薬剤の値段というのはすごく高くなる。
ヒトゲノムが解析されて以来、そんなことでいいのかという議論が最近出てきている。
ただ、特許を全く認めないと、製薬メーカーは利益が得られず、新しい薬剤を開発する資金がなくなってしまう。
そういった意味で特許は、権利を守り、製薬メーカーの次なる開発意欲の源泉にするためにもちろん必要なものだ。
しかし、あまりに研究開発費がかさむようになり、それに伴って特許によって薬剤が守られ、その結果薬剤の値段がはね上がると、いまいったような議論が出てくるわけだ。
こういう議論まで出てきたのは、医療費がどんどん上がって、薬剤の値段も上昇し、薬剤を買えない人が出てくるおそれがあるからである。
医療というのは公共性のあるものなので、この問題をどう解決するかが問われている。
実際、発展途上国の患者に対する薬剤の値段をどうするか、ということは大きな課題になっている。
日本の場合はいま公的な保険があるからいいが、アメリカでは、安い掛け金の保険にしか入っていない人は安価な薬剤しか処方されないことになり、疑問が提示されている。
そんななかで、このジェネリック医薬品という薬剤が見直されている。
ジェネリック医薬品は、成分としては特許のものと同じである。
だったら、断然値段の安いジェネリック医薬品でよいではないか、というわけだ。
特許をとった先発品はブランド品と呼ばれているが、日本ではブランド品と比べるとジェネリック医薬品の値段は半分ぐらいで、それほど安くはない。
しかしアメリカでは、ブランド品の10分の1というものもある。
半分でも差があるのに、10分の1となるとかなり違ってくる。
アメリカの場合は、保険の種類によっては薬剤を全部自腹で払わなければいけない場合もある。
ブランド品なら10ドルする薬剤が、ジェネリック医薬品では1ドルということもあり、「そんなに違うのだったら安い薬剤がほしい」という人もいるわけだ。
ただ、値段の面でメリットが多いようにみえるが、問題がないわけではない。
というのは、品質のよいジェネリック医薬品をつくっている会社もあるが、成分は同じでも、品質の劣るものをつくっているところもあるのだ。
それは会社の技術力の差である。
ジェネリック医薬ロ叩の品質が揃うようになると、経済的な観点からは、患者にもメリットがある。
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